【NieR:Automata(ニーア・オートマタ)】リプレイ記①~全ての存在は滅びるようにデザインされているのか~
※このプレイ記は本作のネタバレを含みますことご了承ください※
※筆者は本作をいちどクリア済みであり、再プレイの記録となります。しかし、作品をプレイしたことのない方にもストーリーがわかるように記載する予定です※
ー全ての存在は滅びるようにデザインされているー
ー生と死を繰り返す螺旋に……ー
ー私達は囚われ続けているー
そんな"絶望的"な言葉とともに、このゲームは幕を開ける。
【NieR:Automata(ニーア・オートマタ)】
2017年に発売されたこのゲームを再びプレイすることにしたのは、ちょうど昨日が発売3周年にあたる日であったからだ。
再び、と述べたとおり、私はこのゲームを発売直後に購入し、ひととおりプレイ済みである。しかし当時は公私ともに忙しく、ゲームに裂ける時間があまりなかった。サブクエストもほどほどに、まるで光が世界を駆け抜けるような速さでエンディングまで突き進んだ過去は、一つの後悔として心の中にわだかまっていた。
そんなおり、本作が3周年という節目を迎えたことを聞いて、再びプレイしようと思い立ったわけである。PS4版をすでに所有しているが、現在はプレイ環境の整っているパソコンを持っているため、あえてPC版を購入してプレイしてみることにした。
また難易度も、前回から一つ上げてハードに挑戦したいと思う。さらに上のベリーハードという難易度もあるが、これは一撃死マストなので挑戦しようという気さえ起こらなかった。
まずは本作の簡単なあらすじを紹介したい。
【あらすじ】
今から遠い未来のこと。突如として地球に侵略してきた異星人と、彼らが放つ機械生命体。その驚異的な力を前に、人類は月へと逃げ延びていた。
地球を取り戻すため、人類はアンドロイドによる軍団を組織するも、長きにわたる戦いの末に両者の関係は膠着状態と化す。
この戦況を打破することを目的とし、投入された新型アンドロイド「ヨルハ部隊」。
その一員である2Bは、パートナーである9Sとともに機械生命体たちの巣食う地球で熾烈な戦いに身を投じていくことになるのだが……
なお、本作は前作『ニーア・レプリカント』の続編ではあるものの、単体でもじゅうぶん楽しめる作品となっている。
太陽に灼かれた目が徐々に色彩を取り戻していくように、白一色の世界のなかから彼女が姿を現す。
この物語の主人公、2Bである。
彼女の声を聴いた瞬間、ニーアの世界に戻ってきたのだという確かな実感を得る。
編隊を組んで工場廃墟跡へと向かう2Bたちであるが、機械生命体の迎撃に遭い、あっという間に部隊は壊滅。跡地に潜入するころには2Bただ一人となってしまう。
いざ、地上戦の幕開けである。本来このゲームには敵のロックオン機能があるが、ハードモードではそれが使えないため、近接攻撃、遠隔攻撃ともに自分で狙いを定めなければならない。この操作性については、前作の『ニーア・レプリカント』が思い出され、よりニーア味(み)が増したような気がする。
そして敵を倒していくと、2Bのサポートを任されているという、9Sに出会うこととなる。
飛行ユニットに乗っている9Sは空から、2Bは地上から目標である超大型機械兵器を捜索していく。当然、道中には多数の敵がいるわけだが、手持ちの回復薬を使いながら何とか進み続ける。
正直なところ、私は決してアクションが得意というわけではないので、この道中が本当に辛かった。時間にすれば二十分もないくらいだが、体感的には一時間くらいに思われたほどである。死にかけては回復し、回復しては死にかけて。自分のせいで辛い思いをしている2Bに対して申し訳なさすら感じられてくる……。
だがそんな私でも何とか屋外へ到達。やがて巨大なアーム2本が襲いかかってくるが、これも本当に"何とか"退けることに成功した。
そしていよいよ、目標の超大型機械兵器の登場だ。
これが目標の超大型機械兵器である。初見のとき、先のアーム2本がそれだと信じ切っていた私は、思わぬ巨人の出現に「およ?」という声を漏らしたものだった。
だが、もうそのころの私はいない。この敵が待ち構えていたこともわかっていたし、攻撃パターンだって記憶している。
あとはコイツを倒すだけ。この困難な道のりにも終わりが見え始め、心に少しゆとりが出てくるのを感じる。そう。あとはコイツを倒すだけ。倒すだけ……
およ?
まさかの一撃死である。何ということだろう。一撃死はベリーハードだけに許された死の遊戯ではなかったのか。
本作の数あるエンドのうちの一つ、Wエンド。折れた翼。発売から3年。恥ずかしながら初めて出会ったエンドである。
終わりが近いという油断が命取りとなったか。自分の甘さが悔やまれるが、過ぎてしまったことは仕方がない。それに、ボスのところまでは到達したのだ。あとはコイツを倒しさえすればこの長いプロローグにも終わりがくる。
そう自分を励ましながら、データをロードした先に待ち構えていたのは……
絶望である。
このゲームは確かにオートセーブ非対応であり、その旨の注意が冒頭でなされていたが、まさか本当に最初からスタートするとは。
あの長い工場内をまた進まなければならないのか。画面も白いが私の頭の中も真っ白である。
しかし、戻ってしまったものは仕方がない。もういちど工場を踏破し、今度こそ超大型機械兵器を倒して見せよう。
繰り返される死。
折れ続ける翼。
そして何度となく聞き続けた2Bの冒頭のセリフ。
ー全ての存在は滅びるようにデザインされているー
ー生と死を繰り返す螺旋に……ー
ー私達は囚われ続けているー
もしかして本当に全ての存在は滅びるようにデザインされているんじゃないか?
そうでなくとも、生と死を繰り返す螺旋には確実に囚われ続けている。
そして折れそうなのは翼ではなく私の心である。
思わずコントローラーを置き、Quit Gameに手が伸びそうになる。
が、すんでのところで手が止まる。
ここで諦めてはいけない。ここで諦めたら、何のために2Bは生と死の螺旋を描き続けてきたのか。何のために、プレーヤーであるお前は二時間弱も工場見学を続けてきたのか。
思えば、似たような経験は以前にもあった。幼いころ、ドンキーコング3のウニみたいなボスがどうしても倒せなくて、泣きながら母親に代わってもらった。
あのとき、ボスを倒した母が見せた渾身のドヤ顔。
そして子供心に刻まれた、屈辱という名の負の聖痕。
今でも確信をもって言える。あれは決して親が子にしていい顔ではないと。
その母親の鼻を明かしたくて猛練習した幼き日の自分に、恥じないプレイをしなければ。
そう、責任ある一人の大人として。
などという使命感にも似た気持ちでチャレンジを繰り返し、ついに超大型機械兵器を撃破。
目標を撃破するも、満身創痍の2Bと9S。そこへさらに、先ほど倒したものと同型の敵が何体も出現するという、絶望的な光景が広がる。
私の頬を涙が伝う。ここまでさんざん苦しみ続けたせいか、感情移入の度合いが尋常ではない。エロイ・エロイ・レマ・サバクタニ。わが神、わが神、なぜあなたは私を見捨てられたのですか。これが、死を運命づけられた者の味わう苦難なのか。
これ以上の戦闘は不可能であり、救援信号を発信したとしても助けが間に合うはずもない。自分たちの死を悟った2Bと9Sは、互いのブラックボックス(彼らアンドロイドのコアにあたるもの)を触れ合わせ、その反応による大爆発に敵を巻きこみ消失する。
そして場面が切り替わり、宇宙基地らしき場所でたそがれる2Bの姿が。
あの大爆発に巻き込まれたにもかかわらず、なぜ2Bは生きているのか。そして一緒に死んだはずの9Sはいずこへ。
続きはまた今度記載予定です。
先に述べたとおりこのゲームはマルチエンディングであり、いつまで記録するかは決めていません。とりあえず、初っ端のAルートのラストまでは書こうと思います。私の心がbrokenしなければ。