【NieR:Automata(ニーア・オートマタ)】リプレイ記②~歴史の質感~
※このプレイ記は本作のネタバレを含みますことご了承ください※
※筆者は本作をいちどクリア済みであり、再プレイの記録となります。しかし、作品をプレイしたことのない方にもストーリーがわかるように記載する予定です※
ー人類に栄光あれー
これから幾度となく聴くことになる言葉。それは機械たちを導く標か、それとも・・・・・・
~再会と悔恨~
ブラックボックス反応による大爆発に巻き込まれたにもかかわらず、基地らしき場所に佇んでいる2B。
内部を進むと、同じく爆発により消失したはずの9Sと遭遇する。
「作戦は成功でしたね」
あれだけの壮絶な出来事の直後にもかかわらず、9Sの声はいやに落ち着いている。
ブラックボックス反応による敵勢力の殲滅。それによって工場廃墟跡周辺の地域へ勢力を拡大する可能性が高まったことを9Sは淡々と説明するが、2Bが彼の言葉を遮る。
「9S・・・」
そう。あの激しい戦闘の最中、9Sは2Bの義体内部のデータをこの基地にアップロードしていたのだ。
彼女たちヨルハ部隊のアンドロイドは義体内部のデータをこの基地にアップロードしていれば、先のように死んでもまた蘇ることができるのである。
しかし、二人の義体は確かに爆発に巻きこまれて消滅したはず。とすれば、いまここにあるのは別の義体ということになろう・・・・・・。
いずれにしても、こうして二人とも無事に戻ってこられたことは喜ばしいことである。
が、9Sは戸惑いがちに、自分はそのときのことをおぼえていない、と答える。
聞けば、あの工場廃墟跡の一帯は通信帯域が細かったため、おそらく一人分のデータしかこの基地"バンカー"に送ることができなかったのだろうとのこと。そして9Sは自分ではなく、2Bのデータを送ることを決断したというわけである。
もちろん、9Sも定期的にデータのバックアップをとっているため、こうして別の義体に再生することが可能だ。しかし、彼の記憶は最終バックアップ時、つまり2Bと出会う直前までのものしか残っていない。工場内で2Bと交わした会話も、彼女を命がけで守り、自らの記憶を犠牲にして彼女のデータを基地へ送ったことも、彼はおぼえていないのだ。
「人類に栄光あれ」
ヨルハ部隊のアンドロイドたちの間でたびたび交わされる合言葉。
一度も見たことのない人類への忠誠を表すその言葉を放ち、9S。だが2Bは振り返ることもなく、何かに耐えるように拳を握りしめる。
ちなみに、この合言葉を言うときの、胸に手を当てるポーズに『進撃の巨人』を連想してしまうのは私だけだろうか。
2B役の石川由衣さんはミカサ役もやっておられるし・・・・・・。
その後、オンライン機能を使用するか否かの選択画面に移行するが、当面はオフにしようと思う。理由についてはまた追々説明したい。
~機械たちの歴史~
西暦5012年、突如として地球に侵略してきたエイリアン。彼らは大量の機械生命体を地球に放ち、人類は壊滅状態となる。
わずかに残った人類は月へと逃げ延びたが、地球は機械生命体たちに侵食され、人類の栄華はやがて歴史の砂時計の底へと沈んでしまう。
残された人類はアンドロイド軍を組織し、西暦5204年に衛星軌道上の基地群から大量のアンドロイドを用いた反攻作戦が開始。
十数回もの大規模降下作戦が行われるも、機械生命体たちを退けるまでには至らず、戦況はやがて膠着状態に陥ってゆく。
機械たちの織り成す無機質な均衡。
それを破るために投入された、決戦兵器―ヨルハ部隊。
2Bたちが活躍するのは西暦11945年なので、およそアンドロイドと機械生命体たちの戦いは実に6000年以上にわたって続いていることになる。実におそるべき長さである。
~新たな指令~
9Sによる起動セットアップ―画面の明るさや音量等の設定―を終えた2Bは、司令官の待つ司令室へと向かう。
この人が司令官であり、ヨルハ部隊の基地であるここバンカーを指揮する立場にある。
いつも司令室の巨大なモニターを見つめており、背後から話しかけると異様な速さで振り返ってくる人である。
(※あの振り返る速度がいつも気になります。私だけでしょうか・・・・・・)
2Bたちは基本的に彼女から与えられた任務を遂行していく。
最初の任務は、地上にいるレジスタンスのアンドロイドたちと合流し、情報収集を行うこと。
この任務にはもともと別の隊員があてがわれていたが、彼らとは連絡がとれなくなってしまったという。その原因をつまびらかにすることも、本任務の目的に含まれている。
きな臭さを感じずにはいられないが、2Bは迷うことなく司令官の指示に従う。彼女の抑揚のない声色は、感情を持つことは禁止されている、という言葉を私に思い出させる。
ちなみにこの司令室にはほかにも多くのヨルハ部隊員がいて、2B専属のオペレーターである6Oと9S専属のオペレーターである21Oにも話しかけることができる。
地上ではこの二人のサポートを受けながら任務を遂行していくことになる。そのほかにもバンカー内にはいろいろなアンドロイドたちがいて、それぞれに個性を持っている。それだけに、異常なまでに感情を抑えこむ2Bの厳格さが際だって見える。
ちなみに、オペレーターの一人から、とあるアンドロイドが砂漠でポッドを紛失したので、見つけたら回収して欲しいと頼まれる。砂漠を訪れた際には、探してみるのもいいかもしれない。
~再び地上へ~
飛行ユニットに乗り、再び地上へと向かう2B、9Sの両名。
あの壮絶な死を経験したばかりだというのに、また戦場へ赴くというのは、どういう気分なのだろうか。
もしも私が同じ立場にあったなら・・・・・・月並みではあるが、そんなことを考えながらコントローラーを握っている。
行く手を阻む機械生命体たちを撃ち落とし、二人は地上を目指して進んでいく。
そして降り立った先に広がっているのは、草木に侵食され、朽ち果てた都市のなれの果てだった。
廃墟都市――
そこは廃墟と呼ぶにはあまりに明るく、生命力に満ち満ちていた。
日光に薄明るむ草原の果てを追えば、草木にからだじゅうを侵されたビル群が建ち並び、かつて多くの人とモノを運んでいたであろうハイウェイは、歴史の見えない剣によって分断されてしまっている。
遠くには一等背の高いビルがそびえ立っているが、隣の少し背の低いビルが、疲れたようにその身を預けている。長い間そうしてきたのだろうか。いつ崩れてもおかしくない二棟のビルはしかし、死後硬直的な安定性を保っているかのようにも見えた。
歴史に蝕まれた都市。
その細胞ひとつひとつであるところのビル群は一様に木々の帽子をかぶり、強すぎる光から身を守っている。ビルの隙間を縫う緩い風が木々の枝葉を揺さぶり、その音がときおり遠くざわめきのように響くのが聞こえる。
光――
思えばこの世界には、青空というものが見当たらない。天を仰いだ先に広がるのは強烈な光によって白く染められた空と、その下を緩慢に流れる雲だけだ。
光に呑まれたこの大地で、機械たちは6000年以上にわたって戦いを繰り広げてきた。
彼らが織り成す生と死の螺旋はいつか、人類がいるという月まで伸びゆくだろうか。
そんなことを思いながら、眼下に広がる"壊れた世界"へと目を向ける。
ここから、二人の物語は動き出すこととなる。